物事が思うようにいかない人の多くは、頻繁に「◯◯できない」という言葉を発しています。
例えば、
- 自分に自信を持つことができない
- お客様とうまく会話をすることができない
- 自分の意見を伝えることができない
- 成果を上げることができない
- 求められる行動をとることができない
- 相手を叱る(褒める)ことができない
- 物事をポジティブに捉えることができない
本当にできない?
心理療法の一つに『ゲシュタルト療法』というものがあります。
「過去」ではなく『今』にフォーカスし、その時のありのままの感情・考え・思い・感覚などを拒否せずに受け入れ、そこから“気づき”を得ることを目的とした代表的な心理療法の一つです。
ゲシュタルト療法の考案者であるユダヤ人の精神科医『フレデリック・パールズ』は次のような言葉を残しています。
しないことを選択している
パールズが言うように、仮に「できない」のではなく『しない』ことを選択しているのだとしたら、おそらく、その選択には“本人にとって何かしらのメリットがある”のでしょう。
例えば、相手を叱ることができないのは、相手を叱らないことを選択しているわけで『嫌われて傷つくことから自分を守る』というメリットを得ています。
「できない」という言葉の裏側には、自分を守るための強い“信念”が隠れている場合が多いようですよ。
過去の経験に反応している
バカにされた、批判された。そんな“人格を否定されたように感じた強烈なショック・嫌な思い出”が、『しないことを選択すれば傷つかずに済む』という自己防衛の心理状態を生み出している可能性もあります。
傷つくことから自分を守るために、心を閉ざす。
それが、「できない」のではなく『しない』を選択してしまう心理メカニズムの一つと言えそうです。
過去に縛られてはいけない
私の質問を受けて、自分が起業することを前向きにイメージできる人もいれば、「自分に起業なんて無理」「収入を今の5倍にするとか不可能」と『できない』という感情しか抱けない人もいるでしょう。
起業する、収入を5倍にする、という言葉に前向きな想像ができないのは、小さい頃から親に「安定した企業で真面目に働くべき」「お金のなる木はない」などと言い聞かされてきたからかもしれません。
先生や憧れの人、あるいはアニメや歴史上の人物などから、コツコツ真面目に正しく生きることが大切であると教わってきたからかもしれません。
幼少期に刷り込まれた安定志向の教えを信じて大人になっている人は、それほど高くない壁でも「そんなに甘くない」と考え、挑戦を回避しようという心理が働き、結局は「行動に移さない」、つまり『しないことを選択する』ようになる傾向があります。
今の自分はどうでしょうか。過去に心が引っ張られて『しないこと』を選択していませんか?
この機会にじっくり自分自身と向き合ってみて下さい。
思い込みに気づき手放す
「過去に反応しているだけかもしれない」と思えれば、「できない」という思い込みは緩和されます。「できない」という瞬発的な反応が、決めつけ・思い込みであることに気づけるはずです。
“思うようにいかない、思うようにできない”のは、過去を重視し、自らの意思でそう選択している可能性があります。
うまくいかなくなるような行動を選択していないか、できないと決めつけていないか、もう一度確かめてみて下さい。
必要であれば、親の教え、先生の教え、友人の教え、先輩や上司の教えなどを紙に書き出し、今の自分を縛っている教えがあるかチェックしてみましょう。
今の自分に必要のない“思い込み”を捨てる勇気が、自分の「できない」を『できる』に変える力になるのです。