今回は、『部下のモチベーションを下げない叱り方』をご紹介します。
叱られる部下の立場になると理解が深まりますよ。
例えば、プライベートの時間を犠牲にして仕事に取り組んだのにもかかわらず、上司から「無駄な努力」と言われたら、あなたはどう感じますか?
- 「ひどい!こんなに頑張ったのに…」
- 「これまでの苦労も知らないくせに、偉そうだわ!」
- 「私はやっぱりダメ人間なんだ」
こんなふうに思うのではないでしょうか。
でも、このように「相手に対する怒り」や「自分に対する失望」に似た感情が湧き起こってきたとしたら、それはあなたの受け取り方に問題があるのかもしれません。
その理由を説明しながら、叱られる側の立場に身を置いた上で『より良い叱り方』について考えていきましょう。
必要以上に落ち込むのは、アイデンティティで受け取ってしまうから
例えば、あなたが仕事でミスをして
- 「ダメじゃないか!」
- 「全然なってないぞ!」
などと、上司からお叱りの言葉を受けたとしましょう。
これらのように、上司の言葉が足りずに「お前はダメ」とだけ叱られると、本当の問題は
- 「その行動がダメ」
- 「そのやり方がダメ」
という行動レベルでの意味であったとしても、その『お叱りの言葉を“自分自身の人格を否定された”とアイデンティティレベルで受け取ってしまう』のです。
アイデンティティで受け取る必要は1ミリもない
実際、上司が「お前はダメ」と言っているのは『目に見えるもの』のこと、すなわち『環境や行動のこと』である場合がほとんどです。
- 「ダメじゃないか!」と言われたのは、進め方に問題があったという『行動』のことを注意されただけ。だから、私は人格を否定されたわけではない
- 「お前バカだろ!」と言われたのは、人口10人の村で宝石を1日100個売りたいと言っても不可能だと『環境』のことを指摘されただけ。私の人格を否定されたわけではない
このように、相手の言葉の本質を正しく捉えることが出来れば必要以上に落ち込むことはありません。
ほとんどの場合、「ダメ!」という言葉をアイデンティティで受け取る必要はないのです。
「部下自身」と「起きてしまった問題」は切り離す
あなたが部下を持つ上司なら、部下には、目に見える部分をきちんと伝え、“部下自身の人格”と“起きている問題”は切り離して指導してあげましょう。
一方、あなたがあなたの上司から「君は上司として失格だな」などと目に見えない部分で指摘された時は、「申し訳ありません。私のどういった行動に問題があったのかご教示頂けますでしょうか?」と、指摘の理由を『環境や行動のレベル』で聞き返すように努めて下さい。
どんなにネガティブな出来事が起こったとしても、相手が問題にしていることを『目に見えるものの中から見つけ出す』ことが大切です。
結局、人間は目に見えるもので判断する生き物。自分以外の相手のことは目に見えるものでしか判断できないのです。