目次
最近、当サイトの働く女性のお悩み相談窓口には、次のようなご相談が増えてきました。
- どんな仕事が自分に合うのか、向いているのかわからない
- キャリアビジョンが描けなくて不安
- 好きを基準に仕事を選んだのに長続きしない
- 女性が管理職を目指すのはまだ難しいように思える、今後のキャリアへの迷い
- 何の取り柄もない自分に向いている仕事なんて無いのではないか
- 仕事をコロコロ変えている自分が嫌い、安定しない自分に不安ばかり募る
こんにちは、BPLaboです。(キャリアコンサルタント【登録番号17039543】)
しかしその一方で、自分のキャリアビジョンをはっきりさせ、不安のない充実した働き方を見つけた女性もたくさんいます。
そこで今回は、主に20代・30代の女性に向けて『お仕事・転職のお悩み相談窓口へ寄せられた女性5名の相談事例』を具体的にお伝えしていきます。
きっとあなたが今抱えている転職・仕事・人間関係のお悩み解決への近道になるはずですよ。
【相談者1】今の仕事が自分に合っているのかわかりません。
社会人になったらやりたいと思っていたことはたくさんありましたが、今はそれらをする気力もありません。
自分がどこに向かっているのかとても不安です…。
Aさん(24歳・営業職)
自信を失いやすい期間は入社後3年間
Aさんは働いてどれくらい経つのでしょうか。
もし、まだ「1〜2年くらい」という事であれば、初めて就いた仕事が“自分に合うか、合わないか”をご自身で判断するのは『かなり難しい』と思います。
なぜなら、入社後3年間くらいは、右も左もわからない状態で目の前の仕事に追われ、先輩や上司から「ああでもないこうでもない」とたくさんの指導を受けますよね。
この期間は、実際の向き不向きに関係なく、大多数の社会人が『自信をなくして辞めたくなる時期』でもあるからです。
リアリティショックに対処する
正社員が3年以内に辞める割合は、“中卒入社の場合で約7割、高卒が約5割、大卒で約3割”という厚生労働省のデータがあり、それは今でもほとんど変わっていません。
この数値からは、Aさん同様に「初めて就いた仕事」と「自分自身の価値観や考え」とにミスマッチを起こし、「思っていたのと違う」と感じる20代前半の女性が”かなり多い”ということがわかります。
まずは、「どこに向かっているのかわからなくて不安な人間は自分だけじゃないんだ、私と同じような課題に直面している人たちは大勢いる」と考えてみて下さい。それだけでも、随分と気持ちが軽くなるはずですよ。
このような心理状態をキャリア心理学では『リアリティショック』と言います。
今のAさんは、年齢的にもまさに「現実を知ってショックに対処しなければならない時期(16〜25歳程度)」のちょうど真ん中あたりにいると考えていいでしょう。
社会に出ると「最低でも3年間は続けよう」などと言われることが多いと思いますが、それもあながち間違いではないと言えそうですよね。
私は3年間とは言いませんが、少なくとも『ある一定の期間を乗り越えてからでないと(経験と改善の努力を繰り返さないと)、自分の職能傾向(例えば、好き嫌い・向き不向き・得意不得意・強み弱み 等)は見えてこない』と考えています。
最初からすべて上手くはいかない
初めての仕事で最初からスムーズにいくことはめったにありません。
“自分が今どこにいるのかもよくわからない状況”なのに、すんなりとゴールに辿り着けるはずもないのです。
しかし、社会人になったばかりの頃は、その現実をなかなか受けられないものなんですよね。「こんなはずじゃなかったのに…」と急激に自己効力感(=自分はできるという自信、有能感)が低下しやすいのです。
改善する努力にエネルギーを向けることが出来ず、「思っていたよりも仕事が面白くない」「想像と違った」などと愚痴をこぼしながら転職を繰り返す人を私は何人も見てきました。Aさんもそんな心が乱れやすい時期にいます。
だからこそ今、あらためて立ち止まってみて『自分自身にとって、仕事とは?』という本質について考えてみる必要がある思います。
再認識することで、Aさんご自身の仕事観が『キャリアの基軸』になりますよ。
キャリアの基軸をつくる
キャリアの基軸というのは、「自分がどんな働き方を求めているのか」、あるいは「仕事において何を一番大切にしているのか」という『仕事で迷った時に帰ることが出来る“原点”や“拠り所”のようなもの』と考えて下さい。(※キャリア心理学では『キャリア・アンカー』と言います。)
「こんなふうに働きたい」と期待する個人と、「こんなふうに働いて欲しい」と要求する組織があって、ただでさえ『(個人と組織のニーズに)ズレ』が生じやすいもの。さらに、各々のニーズは時間とともに変わっていきます。
それゆえに、個人が仕事を続けることに迷った時は、なるべく早い段階で組織側(例えば、直属の上司など)と考えや方向性を確認し合っていく必要も出てくるでしょう。
しかし、会社側とコミュニケーションを取るにしても、自分にキャリアの基軸がなければ、ニーズの確認やすり合わせを行うというよりは、会社側の要求を一方的に受ける形になりかねませんので、今のAさんが最初にすべきことは、ご自身に『キャリアの基軸をつくる』ことです。
基軸があれば、“今の会社に残るか、去るか”という事も含めて賢明な判断が出来るようになっていきます。何より、自分がどこに向かおうとしているのかがハッキリしてくるはずですよ。
【適職診断】自分に合った仕事探し「質問7つに答えるだけ」【相談者2】自分が好きな仕事に転職したが続けられそうもない。
だけど、情けない話ですが、今の仕事も続けられそうにありません。
なかなか結果が出せず、上司や同僚からの評価も低いと思います。そのことももうダメかと思う理由です。
好きという気持ちで今の仕事と会社を選んだはずなのに、続かないんです。
Bさん(29歳・メーカー勤務)
「好き」という基準にプラスする
Bさんの場合は、「好き」という主観だけではなく、『自分の能力を発揮しやすいか』という基準も加えて仕事を選ぶことをおすすめします。
「好きな仕事で能力を発揮できる」ことに越したことはありませんが、現実はそうすんなりとはいかないもの。中には、好きだからこそ仕事にならないという場合もあるでしょう。
好きな仕事をすると楽しくて長続きするイメージはありますが、Bさんのように「好きな仕事で能力が発揮できない」となると、むしろそのギャップに苦しむことになるものです。
「好きな仕事」と「能力を発揮できる仕事」は、必ずしもイコールではありません。
会社組織の中では「好き」が足かせになる場合も
「好きな仕事」と「趣味」には共通する部分が多く、好きな仕事をしていると『趣味の延長線上という感覚を持つ人も多い』ようです。
そのため、マイペースになりやすく、組織に必要な協調性を欠くことにもつながりかねません。
また、その仕事をしているだけで満足感を得られてしまうため、人によっては『成果を出すことにあまり執着しない』ということもあるでしょう。
例えば、“フリーランスとして一人で仕事をする”というのなら、マイペースでも誰に迷惑をかけるわけでもありません。それほど多くの収入を得られなくても、自分の心が満たされているから幸せと納得していれば、それで一向に構わないと思います。
しかし、会社に勤めている以上は一緒に働く仲間と足並みを揃えないことや、成果を追求しないことは出来ません。会社の中では、好きなことがもたらす自由が足かせになる場合もあるのです。
結果が出れば好きになる心理
一方、能力を発揮できる仕事では、自然と『成果が出てしまう』わけで、成果が出れば多少の苦しみなど忘れさせてくれます。「楽しい!嬉しい!」という良い感情もどんどん湧いてきます。
成果を出せば、評価もされます。評価されれば、もっと頑張ろうと思うのが働く人間の心理。成果は、働く人間を前へ前へと推し進める原動力になるものですよね。
最初はあまり好きになれなかった仕事でも、成果を出して周りから評価されるようになると、その仕事を好きになっていく。そういうこともよくあります。
まず、自分の性格を正しく理解することから
長く続けられる仕事を見つけるには、自分の性格を正しく理解しておかなければなりません。
とはいえ、自分の性格を理解しようとすると『どうしても主観に偏ってしまう』もの。自分が思っている性格とは全く違った印象を周りが持っていることも少なくないんです。
試しに、次の5つの質問に答えてみて下さい
- 自分の目がキラキラ輝き出すのは、どのような状況や環境に置かれた時ですか?
- 物事の「木」を見るほうですか?「森」を見るほうですか?
- 決断を下す時は、客観的なデータを集めて吟味するほうですか?主観で決めてしまうほうですか?
- 計画通りに進めるのが得意ですか?苦手ですか?
- 目標がないと動けませんか?とりあえずでも動けますか?
さて、素早くパッと答えを出せましたか?
おそらく、ほとんどの方が「これまでの自分の行動を振り返り、よく考えなければ答えが出せなかった」のではないでしょうか。
それこそ「普段から主観に偏って自分を見ている」何よりの証拠。自分の性格を正しく理解するには『客観的な視点』が大事です。
一度たっぷり時間を取って、「自分の才能(得意なこと 等)は何か」「自分が力を発揮できる仕事分野は何か、どんな職場環境なのか」など、自分を生かせる仕事についても考えてみて下さい。
実際に紙に書き出してみると、頭で考えるよりも自分自身を客観的に見ることが出来ますよ。
【相談者3】管理職を避けて無難に働くか、昇進を目指すか悩む。
そして今、管理職を目指そうという気持ちで固まりつつあります。
しかし、今の業務内容では何か目立った結果を出すことは望めませんし、上司から特別に目をかけられているわけでもありません。正直なところ、このまま続けているだけでは昇進は難しいです。
これまで以上に仕事に集中していくとして、他に何か管理職を目指す女性がしておくと良いことはありますか?
Cさん(34歳・正社員)
まずは、本気で決意することから
今Cさんのなかで『固まりつつある気持ちをちゃんと固める』ことから始めましょう。
何かを目指す時は「迷いがないほうが到達しやすい」からです。
とはいっても、それほど難しく考えることはありません。
例えば、鏡に映った自分に向かって『よし、決めた!管理職になってみせる!』などと力強く宣言するだけでも気持ちはしっかり固まるものですよ。
それでは、簡単に自分で行える“迷いをなくし気持ちを固める方法”をお伝えしますね。
ビジュアルを意識する
管理職を目指す女性が『仕事面以外で』できる効果的な方法についてですが、、、例えば、見た目を『できる女』に変えるというのはいかがでしょうか。
なぜなら、ビジネスの場では「ファッションによる影響もかなり大きい」からです。
心理学的にも、ファッションで見た目を“できる風”に変えるだけで「周囲の評価を高める効果が期待できる」だけでなく『自分の内面にも好ましい変化が表れやすい』ということがわかっています。
男っぽいファッションを取り入れてみる
これは賛否両論あるかとは思うのですが、実際にアメリカで行われた研究結果をお伝えいたします。
「女性の経営幹部を募集して面接をする」という実験をした結果、『男っぽいファッションの女性ほど面接官の評価が高かった』そうです。
男っぽいファッションをするだけで、面接官に「経営幹部に向いているかもしれない」と思わせることができたと言ってっもいいでしょう。
この実験結果から、ビジネスの世界では、ひらひらスカートより“パンツスーツ”のほうが、淡いピンクやベージュなどの優しい女性をイメージさせるカラーより男性的で落ち着いた“モノトーン系のカラー”をメインに取り入れたほうが、できる女に見られやすいということが想像できます。
その上でパワーやエネルギッシュな印象を与える赤などをバランス良く取り入れるのも効果的でしょう。
もちろん、職種やお仕事の特徴によりアレンジは必要になるかと思いますが、“ひとつの方法”としてお伝えします。
姿勢ってすごい大事
また、見た目ということで言えば、「背筋を真っ直ぐ伸ばす」「颯爽と歩く」など、姿勢や動作で“できる女”を演出することも可能です。
ぜひ意識的に見た目を変える努力をしてみて下さい。
【相談者4】職場の人間関係が上手くいかず逃げたい、転職したい。
でも、自分が次にどんな仕事をしたいのか、やりたいことがありません。何かに夢中になったという経験もほとんどないです。
転職の理由が不純なので、自分に向いてる仕事を見つけようと頭が働きません。
それよりも、もし次の職場でも人間関係が上手くいかなかったらどうしようとか、何の取り柄もない私に向いている仕事なんてそもそもないのではないかとか、悪いほうにばっかり考えてしまいます。
逃げるように転職しても今より苦しくなるだけでしょうか?
Dさん(31歳・一般事務)
人間関係の問題からは逃れられない?
確かにどんな職場でも大なり小なり人間関係の問題はあるものです。おそらく、Dさんが新しく職場を変えたとしてもそれを避けることは出来ないでしょう。
それぞれの職場に独自のルールがあって、「郷に入っては郷に従え」ではないですが、とりわけ人間関係においては『周りに程よく合わせる社交術も必要』になってきます。
ゼロから築く姿勢で
今回どのような人間関係の問題があって「逃げるように」と思われているのかまではわかりませんが、その気持ちを新しい職場まで引きずって持ち込んではいけません。
次の職場では『ゼロから良好な人間関係を築こうとする積極的な姿勢』が大事です。
本気で転職を考えるなら『新しい職場の人間関係に馴染めるよう努力する』という覚悟、腹づもりでいて下さい。
自分の才能と向き合う
それと、私は「Dさんにしかない才能は必ずある」と信じています。今は単に『ご自身の才能を見つけようとしていないだけ』ではないでしょうか。
ですから、どうか「私には何の取り柄もない」なんておっしゃらないで下さい。まさに今が“人生の棚卸しを行い、真剣にご自身の才能と向き合う時”だと思いますよ。
「誰かの助けになりたい!誰かを喜ばせたい!」という気持ちが自然と湧き上がってきた時に表面化してくるもの、それが『才能』です。
これまでの経験を振り返る
あまり“自分の才能は何か?”と重く捉えずに、これまでに誰かを喜ばせ感謝されたことを思い返してみて下さい。
例えば、自分が作った料理を褒められたり、喜んでもらえたことがあるのなら、それは立派な才能と言えますよ。
こういうことを伝えると「いや、普通ですよ、普通。」と謙遜もあるのでしょうが、すぐに否定される方が多いんです。しかし、誰でも美味しい料理が作れて、人に喜ばれるほどのスキルは持っていないんですよね。
料理・飲食関連のお仕事を選べば、より多くの人を喜ばせることにつながります。
「私はどうすれば人を喜ばせることが出来るのだろう」と考えていると、少しずつ『自分にあるもの』に意識が向くはずです。
最後に、もう一つ。まったく別の視点から自分の才能を見つける方法についてもお伝えしておきます。
「苦い体験」を思い返す。あえて。
今度は、自分の度が過ぎた行いが招いた“苦い体験”を思い返してみて下さい。
例えば、職場で上司に「Dさんは加減ってものを知らないの?そんなにこだわらなくていいから早く処理してよ」と言われたとしましょう。
普通なら「自分は仕事ができない」と落ち込んでしまいそうですが、その思考では自分の才能に気づけません。
上司の言葉をギフトだと思って受け取りましょう。そうすれば、自分に『加減しない、こだわる』という才能があることに気づけるはずですよ。
社員一人一人がとことんこだわって、良質なモノやアイデアを生み出す姿勢を大切にしている企業は探せばあるものです。そういう企業に転職するのも一つの選択肢ですよね。
ただし、次にどんな仕事がしたいのかわからない、やりたいことが見つからないうちは、勢いで転職してはいけません。「逃げるように」という気持ちが強いうちは、どうしても勢い任せになりがちです。
ぼんやりとでも方向性が定まるまでは、今の仕事を続けながら、次にどんな仕事がしたいのか見つける努力をしましょう。
目的を持って今を過ごしていると、人間関係のゴタゴタもあまり気にならなくなりますよ。
【相談者5】転職してばかりで長く続かない。
この仕事なら楽しく続けられるかもと思って転職しても変わらず、結局は何をしてもあまり身が入りません。
どうすれば夢中になれる仕事を見つけられますか?
Eさん(36歳・サービス業)
仕事を見切る基準を再評価する
「仕事をコロコロ変えている要因」について考える良い機会だと思いますので、まずは今の仕事に対するこれまでのEさんご自身の姿勢を振り返ってみて下さい。
もしかすると、今の仕事は自分が夢中になれる仕事ではないと早い段階で決めつけていませんか?
本当にそうなのかどうか、やるだけやってみてから判断していますか?
夢中になれるものを本気で見つけようとしている人は、少なくとも『中途半端に取り組んで結論を出すことはしない』ものです。
夢中になれるものは、真剣に取り組んだ先にあります。ちょっと足を突っ込んだくらいで出会える(見つかる)ものではありません。
中には「そんなの時間の無駄」と考える方もいますが、「やるだけやってみる」というプロセスを無駄だの意味がないだのと言い訳ばかりして回避しようとする人ほど『いつになっても宙ぶらりんのまま(仕事が定まらない)』という人が多いものです。
もしEさんに、“中途半端に取り組んで答えを出す癖”がある場合は、「ここまで取り組んでから判断する」という基準を決めて(現状よりも厳しい基準を定めて)、そこまでは『その時々での感情に流されることなく』ひたむきに取り組んでみて下さい。
自分と仕事の相性を考える
それでも夢中になれないという場合は、仕事選びの段階から見直す必要があります。
例えば、あらためて『自分と仕事の相性を考える』こともその一つです。
自分は、
- 大勢の人たちと関わる職場環境を求めているのか
- 一人でじっくり取り組める職場環境を求めているのか
- 既存のやり方を大切にしながら進めていく仕事を好むのか
- 新しい革新的なアイディアを試しながら進めていく仕事を好むのか
など、Eさんご自身の「仕事や環境に何を求めるのか」という要因も相性を考える上で重要になってきます。
『職場環境に問題があるのか。それとも、仕事の内容自体に問題があるのか』など、自分の性格と照らし合わせて現状を分析してみましょう。
その一方で、周りの人が苦戦しているのに自分だけが簡単に出来てしまうことは何か。周りの人から「よく嫌にならずにやれるね、すごいと思うよ」と言われることは何か。など、ご自身の『得意なこと、簡単に結果が出たこと』についても目を向けてみて下さい。