それでは、部下があなたから離れていってしまう。
上司であるあなたに部下が結果を報告するシーンで考えてみましょう。
部下からの報告内容が、
「お客様を喜ばせようとする私の思いが足りなかったために売上目標を達成できませんでした」
という内容だったとします。
さて、いかがですか?
この報告を受けたあなたは、ついイラッとして、
「そういうことじゃなくてさ、本当の原因は何なのよ!」
そう言いたくなったのではないでしょうか?
このケースでの部下の報告内容は「気持ち」や「感情」が中心となっています。
つまり、部下にはプロセスを重視するクセがあるのです。
その一方で、上司であるあなたは「気持ち」ではなく、きちんとした検証結果を求める結果を重視するクセがあるとも言えますね。
このような上司と部下とのやりとりって、実際によくあるシーンですよね。
でも、本当は実に危険なんです。
それはなぜか?
それは、上司が部下を受け入れていないから。
この場合の部下は「気持ち」を重視していますから、自分の気持ちを分かってくれない相手には心を開かない傾向があります。
気持ちを受け入れてもらえずに「きちんとした検証結果を提出しなさい」と言われると、相手が上司である以上、言葉では「はい、すみません!」と言うかもしれませんが、心の中では「この人には感情ってモノがないのか?俺とは合わないな…」という不信感を抱いてしまうんですね。
確かに、上司である立場上、人の感情や気持ちがどうだという内容よりも、売上が振るわなかった原因が立地にあるのか、商品にあるのか等を裏付けてデータで示して欲しいし、そのデータを次に反映させて同じ失敗を部下に繰り返させないことが責務なのかもしれません。
その責務はとてもよく分かります。
だからこそ報告の間違いを正してあげたいし、そこには部下を思う気持ちがちゃんとあるってことも分かります。
でも、部下を本当に思うのなら『まずは受け入れる』こと。
もちろん、ただ話の内容を受け入れるのではなくて『部下の大事にしているしているものを受け入れる』ということです。
これが本当に大事です。
これを積み上げていくと部下との信頼関係は着実に太くなっていきますよ。
部下を正しく理解すると最適なフォローができる!
そしてもう一つ。部下をしっかり見ていて欲しい点があります。
それは、プロセスを重視する部下は、人の感情や気持ちに敏感であるために「結果そのものを自分自身と重ねて受け取ってしまう傾向がある」という点です。
『ダメ=自分自身』という最悪の方程式をつくっちゃうわけですね。
そのため、悪い結果を自分自身と結びつけてしまい、一気にモチベーションが下がったり、極度に落ち込んでしまうことがあります。
こういうときは、『あなたが悪いのではなく、やり方に問題があるだけよ』といったように、結果と部下自身を切り離して考えさせるようにしましょう。
部下も上司も結果だけを重視して仕事ができれば、仕事に対してはプロ集団になれるのかもしれません。
でも、会社組織というのは、様々な価値観や考え方のクセを持った人間の集まりでもあります。
例えば、セールスをするときは結果を重視するタイプなのに、マネージメントになると部下のプロセスを重視するタイプになってしまう人もいますし、その逆という人もいます。
もちろんセールスもマネジメントも結果を重視するべきだって人もいますし、物事のすべてはプロセスが大事なんだって考えている人もいるでしょう。
このように『人は状況や背景によって求めるものが変わる』ということも、人をマネージメントする上ではきちんとおさえておくといいですね。