大森篤志からの回答内容
旦那さんに対するYさんの恐怖心がひしひしと伝わってきます。
「このままどこかへ行ってしまいたいとさえ思う時がある」という言葉には、正直ドキッとさせられました。おそらく、Yさんの心は限界に近い状態なのでしょう。
旦那さんの“突然「金がない!」と騒ぎ出す”という言動から推察するに、もしかすると“お金に対する心配や不安”が「急に不機嫌になってYさんを怒鳴ったり無視したりする」という置き換え*行為として表れている可能性も十分に考えられます。
【*置き換え】とは・・・
ある対象に対する欲求を満たすことが叶わない場合に、その欲求を他の対象に向けて満たそうとすること。受け入れがたい出来事や状況によって生じる不安を軽減しようとする無意識的な防衛機制反応の一つ。八つ当たり。(参考:フロイトの防衛機制に関する記述)
夫婦なのに“スキンシップを求めると金銭を要求してくる”という異常な反応からも、旦那さんの『お金に対する執念』のようなものを感じます。四六時中お金のことを考えているのかもしれません。
しかし、ご相談内容を確認させて頂いた限りでは、たとえそのような仮説を立てて「旦那さんに対する対応の仕方をどうするか」などという表面的なアプローチをいくら行っても、おそらく効果はあまり期待できないように思います。
目を背けたくなる部分もあると思いますが、この機会に根本的な課題に目を向けてみましょう。
体を大切にすることから始める
「体が悪い」とのことですので、一にも二にもご自身の体を大切にすることから始めて下さい。
なぜなら、心と体は密接に影響を及ぼし合っており、体が不調であるほど不安や恐怖などをより強く感じやすくなるからです。
例えば、職場の同僚がいつもよりブスっとした表情をしているだけで「私のことを嫌っているに違いない」と感じてしまうほど極端に心が動揺することもあります。
しかし、同僚のブスッとした表情の真実が『頭痛』であったとしたら、「私のことを嫌っているに違いない」という思いはただの“思い込み”にすぎず、結果としては“妄想だった”ということになりますよね。
他にも、上司にミスを指摘されただけで「いじめられた」「私を辞めさせようとしている」などと現実を歪めてしまったり、強い対人恐怖を抱いてしまうこともあります。
夫婦は『一対の反射鏡』です。一方が過敏になると、もう一方もつられて過敏になる傾向があります。そうなると、些細なことでも簡単に関係が悪化してしまうのです。
そういう観点からも、今のYさんはご自身の健康改善と維持に努めるのが最も肝心であると私は思います。それと、ご自身の状況や体の具合などをきちんと旦那さんに説明し、理解と協力を得ることも大切です。
いずれにしても、心と体の状態が不安定な中で旦那さんとの関わり方を変えようとすると、いたずらに悩みを増やし新しい問題を誘発させてしまうことにもなりかねません。
「旦那さんに対する対応の仕方をどうするか」については、Yさんご自身の健康改善と維持に努めた後に考えるべきことである事をご理解下さい。