目次
1.数の子(かずのこ)
数の子は、海水魚である「ニシンの卵」です。
ニシンは卵の数が多く、二親(ニシン)から多くの子が出るのが「おめでたい」とされ、子宝や子孫繁栄を願う縁起物として食されるようになりました。
2.伊達巻(だてまき)
伊達巻(だてまき)は、白身魚やエビのすり身に溶き卵と出汁を加えて混ぜ、巻いて焼き上げた具材です。
伊達巻き卵(だてまきたまご)、長崎では「カステラ蒲鉾(かまぼこ)」とも呼ばれています。
「カステラ蒲鉾」が伊達者(ダテシャ/お洒落な身なりの人)たちの着物によく似ていたので伊達巻と呼ばれるようになったとか、伊達政宗が白身魚のすり身に卵を混ぜて焼いたものを好んで食べたとか、諸説はいくつかあるようです。
また、伊達巻の形が巻物に似ていることから「文化」や「学問」の発展を祈願する意味もあるようです。
3.黒豆(くろまめ)
黒豆は、「黒大豆(くろだいず)」「ぶどう豆」とも呼びます。
中国三大教(仏教・儒教・道教)の道教では、黒色を『魔除け(厄除け)の色』としています。
黒豆には、厄を払い「一年間まめ(よく・真面目)に働いて、まめ(健康)に暮らせるように」と無病息災を祈願する意味が込められているのです。
4.紅白なます(こうはくなます)
紅白の色は水引(みずひき/ご祝儀など贈答品の包み紙などにかける紅白や黒白などの帯紐)を表しており、平安と平和を願う縁起物とされています。
また、根菜で「根を張るように」という意味も込められていますね。
「なます」と呼ばれる由来は、生の魚介と大根、人参とお酢で作ったことが始まりだったためです。
現在では、生の魚介の代わりに、千切りにした「ゆず」、「昆布」や「干柿」などを用いる場合もあります。
紅白なますは”さっぱり”としていますので、お口を整える役割も果たしてくれますね。
5.昆布巻(こぶまき/こんぶまき)
昆布は、「養老昆布」にかけて「喜ぶ」を表し、正月の鏡飾りにも用いられている一家発展(無病息災)の縁起食です。
また、「子生(こぶ)」の字を当てて、子宝祈願などの子孫繁栄を願う意味も込められています。
他にも、伊達巻と同じように、形が巻物に似ていることから「文化」や「学問」の発展を祈願する意味もあるようです。
煮しめの結び昆布や昆布巻など、伝統的な日本のおせち料理には欠かせない存在となっています。
6.田作り(たつくり/たづくり)
田作りは、「カタクチイワシの幼魚の乾燥品」および「それを調理した料理」のことです。
大昔、田植えの肥料として乾燥させたイワシを使用していたそうで、「田作り」という名前の由来はそこから来ています。
また、乾燥させたイワシを肥料にした田んぼが豊作だったところから別名「五万米(ごまめ)」とも呼ばれています。
田作りには、「実りある一年を祈願する」という意味が込められているのです。
7.ゴボウ(ごぼう)
ゴボウは、細く長く地中深くにしっかりと根を張るため、縁起のよい食材とされています。
また、ゴボウの色や形が「黒い鶴(めでたいことの起こる前兆とされる鳥。豊作の象徴)」に似ていることから豊作を願って食べられるようになりました。
特に「たたきゴボウ」は、軟らかく煮たゴボウを叩いて身を開き、開運を祈願したものです。
ゴボウの産地として知られている京都府八幡市(旧八幡村)の名をとった「八幡巻」も、おせち料理には欠かせない具材の一つとして有名ですね。
8.紅白蒲鉾(こうはくかまぼこ)
紅白は「祝いの色」です。
紅は「めでたさ・慶び」と「魔除け(厄除け)」を、白は「神聖(清らかで汚れのないさま)」を意味しています。
また、蒲鉾(かまぼこ)の形が半形状であることから、蒲鉾は「日の出」を象徴するものとして、元旦にはなくてはならない具材となりました。
9.栗きんとん(くりきんとん)
「きんとん」を漢字で書くと『金団』となります。
その漢字からも分かる通り、「金の団子」を『黄金色に輝く財宝』にたとえて、金運を祈願しています。
栗きんとんは、一年間の豊かさと勝負運を願う料理と言えますね。
余談ですが、山の幸の代表格である栗は「勝ち栗」と呼ばれ、縁起がよいとして尊ばれてきたそうです。
10.チョロギ(ちょろぎ)
チョロギは、シソ科の植物で「長さ1~3センチ程度の巻貝のような形をした塊茎部分(ジャガイモのように地下茎の一部が養分を蓄えて大きくなったもの)」です。
塩漬けにしたり茹でたりして食べます。
塩漬けの場合、4~5日ほど漬けた後に梅酢やシソ酢に漬けて赤い色をつけることが多く、おせち料理には、主に赤く染めたチョロギを用います。黒豆煮に添えて供されることも多いですね。
チョロギは、「長老木」「長老喜」「長老貴」「千代老木」「千代呂木」など、縁起をかついだ漢字で書かれることもあり、無病息災や長寿を祈願する意味も込められています。
11.酢蓮(すばす)
蓮根(れんこん)をサッと茹でて甘酢に漬けたもので「酢れんこん」と呼ぶこともあります。
蓮根は、インドでは紀元前3千年前から、多産や生命力を作り出す豊かさの象徴とされてきました。
仏教では、釈迦の誕生を告げて蓮の花が開いたとされ、中国や日本でも仏教でいう極楽浄土とは蓮池のことを指しています。
泥水の中から清らかな花を咲かせる蓮は、清純(汚れのないさま)を表す植物とも言われていますね。
また、輪切りにすると多数の穴が空いていることから「将来の見通しがいい」という意味があり縁起が良いとされています。
12.菊花かぶ(きっかかぶ/きくかかぶ)
冬が旬である「かぶ」をおめでたい菊の花の形に飾り切りし、紅白の酢のものに仕立てたのが「菊花かぶ」です。
菊の花は、「魔除け(厄除け・邪気ばらい)」のエネルギーを持ち、不老長寿の象徴とされてきました。
他にも、旬な食材である「かぶ」を用いることで『旬な人間になる』ことを願ったり、武家政権下の時代(平安時代後期から江戸時代にかけて)では、「かぶ」は『頭(かしら)』を意味していたとされ、出世の縁起をかつぐ食べ物として広まったという説もあります。
また、かぶには消化を助ける栄養素が多く含まれていますので、つい食べ過ぎてしまうお正月には嬉しいですよね。
13.海老(えび)
海老は、長生きの象徴とされています。
長い髭(ひげ)をはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願って正月飾りやおせち料理に用いられるようになりました。
おせち料理には、小えびを串で止めた「鬼がら焼」を供することも多いようですね。
また、海老の赤色には「魔除け(厄除け)」や「晴れやかさ・華やかさ」の意味も込められています。
14.鰤(ぶり)
鰤(ぶり)は、成長と共に名前が変わる「出世魚」です。
おせち料理では、出世魚の鰤(ぶり)にあやかって立身出世を願い食べられるようになりました。
流行りの塩麹を使って簡単に出来る「鰤の塩麹焼き」なんていいですよね!
15.鯛(たい)
「おめでたい」にかけて、お祝いの席全般で食べられることが多い鯛(たい)。
鯛(たい)は、誰もが知っている「祝い事の定番食」と言えますね。個人的には、塩焼きがオススメです!笑。
16.小鰭(小肌)の粟漬け(こはだのあわづけ)
小鰭(小肌)は「コノシロ」という魚の成魚になる前の名前で、全長10センチほどの若魚が『コハダ(小鰭)』と呼ばれています。出世魚としても有名ですね。
小鰭(小肌)は、お酢でシメて寿司種として珍重されているのはご存知かと思いますが、粟漬けもコノシロの酢漬けがベースです。
当て字でコノシロを幼い子供の身代わりの意味で「児の代」、娘の身代わりの意味で「娘の代」と書くこともあり、子供の健康を祈願する意味も込められています。
また、コノシロは主食(ご飯)の代わりになるほど大量に獲れたことから、豊作を呼ぶ縁起物とも言われており、クチナシで染めた粟で五穀豊穣を願っています。
17.鰻(うなぎ)
「おせち料理に鰻?」そう思った方も多いのではないでしょうか?
それもそのはず。おせち料理に鰻を加えるようになったのは、まだまだ最近のことですし、地域によっては鰻の概念さえないところもあります。
ピンときた方もおられると思いますが、鰻を加えるようになったのは「うなぎのぼり」にかけて出世を祈願するためですね。
18.里芋(さといも)
里芋は、親芋に子芋が付き、子芋に孫芋が付いて増えていきます。
その様子から、「子宝に恵まれる」といった子孫繁栄の縁起食とされています。
19.スルメ(するめ)
スルメは、当て字で「寿留女」とされ、結納の膳にも使用されていました。
「寿(幸せ)を留めておく女」、縁起のよさが伺えますよね!
意外に思う方もいるでしょうが、スルメは「おめでたい祝いの席などには欠かせない食べ物」だったのです。
また、噛めば噛むほど味の出る人間になるかもしれません!笑。
20.慈姑(くわい)
慈姑(くわい)は、「子孫繁栄」や「出世」などを願う縁起のいい野菜です。
慈姑(くわい)は、その漢字からも想像が付く通り、「一つの根に多数の子が付いている姿が、子供を慈しみつつ哺乳する母(姑)のように見えることから名付けられた」と言われています。(子孫繁栄)
また、小さな球形から先の尖ったくちばし状の芽が伸びている姿から「芽が出る」とも言われています。(出世)
本当に、めでたいですねぇ!福。
おわりに
いかがでしたか?
おせち料理は「日本の心!」です。
大切な人たちと過ごす大切な時間。それが日本のお正月の本質ではないでしょうか?
ぜひ、本記事でご紹介してきた豆知識を家族の会話のおつまみにして頂き、子供たちにも伝えてもらえたら嬉しく思います。