大森篤志からの回答内容
上司の仕事に加えて部下の仕事のサポート(もはやフルサポート?)までこなせるのは、それだけ英里子さんが「仕事がデキる」ということなのでしょう。しかし、今回の問題は「有能な上司に陥りがちなパターン」と言えそうですよ。
私がよく「上司としての心得」としてお伝えしている一つに『部下を変えようとするのは上司の仕事ではない』というものがあります。
上司になると、無意識に「どうして(私のように)もっと上手に仕事ができないの?」と部下を見下してしまうもの。おそらく英里子さんにも似たような気持ちがあるのではないでしょうか。(自覚はないかもしれませんが)
部下を自分色に染めようとしていませんか?
部下も(私のように)早く正確に仕事をするものだと考えていたり、部下が(私のように)早く正確でないと怒ったり、自分では気づかない心のどこかで『部下を自分色に染めようとしている』ところがあるのかもしれません。
どうしても部下を英里子さんと同じにしたいと思うなら、まずは英里子さんが部下と同じになろうとしてみてください。英里子さんがいくら頑張っても部下のようにはなれないはずです。結局、部下は『部下自身のやり方で力を発揮する』しかないのではないでしょうか。
「遅い」や「確認しすぎ」に隠されている『部下らしさ』は何なのでしょう。
「丁寧すぎるから遅い」というのなら、それは悪いことばかりではありません。「確認しすぎるけどミスは少ない」というのなら、その部下の信頼性は高いと言えます。
英里子さんの仰る通り、たしかに「チームの業績は、その長たる英里子さんの評価」でしょう。しかし、部下の仕事まで英里子さんが行ってしまうチームに継続力はあるのでしょうか。長い目で見たら、部下が育たない「早期解散チーム」となりかねません。英里子さん一人で仕事をするのが実態なら、そもそもチームなど必要ありませんよね。
結成当初のチーム業績の低迷は織り込み済みで部下の育成に全力を注ぐような上司業をしていかないと、結局は「幻のチーム」となってしまうものですよ。
部下に自分と同じやり方で仕事をさせようと努力するよりも「部下の強みを把握し、伸ばす」ことで『部下自身のやり方で力を発揮させていく』ことが大切なのではないでしょうか。