今回は、『一度は退職を迫られたアラフォー女の逆転劇』をご紹介します。
相談者)30代後半/女性/介護福祉士
いつも「何かズレてるよね」と言われ、嫌われてしまいます。
職場ではトラブルメーカーになっちゃうし、頼れる仕事仲間もいません。
実は、会社から退職を迫られてますが、どうしても辞めたくないんです。
私は、どうしたらいいでしょうか?
お悩み女子の考え方は、ほぼ同じ!?
一年ほど前、このような悩みを抱えている30代の女性から相談を受けたことがあります。
彼女の話しを聴いているうちに、共通する「ある考え方」が見えてきました。
彼女の目立った発言は、
- 「追い出されました」
- 「毎日誰かに怒られます」
- 「優しい人だと思ってたのに」
- 「誰も話しかけてくれなくなりました」
- 「命令ばかりされます」
など、相手を責める言葉だらけだったのです。
「自分は悪くないのに、どうして?」という自己中心的な考え方がベースになっていました。
なるほど、そこに気づいていなかったのか!!
一通り、彼女の話しが終わるまで黙って聴き、「なるほど。ところで、何についてズレてるって言われてるのかは分かりますか?」と私が質問すると、こう返ってきました。
「私の言動が人の迷惑になってるということだと思います。でも、私にだって働く権利はあるはずです」と。
自分の至らない点に何となく気づいているのにも関わらず、結局は「私にだって」という自分の主張に戻ってしまうクセがあったのです。
そう思う気持ちは分かります。ただ、彼女の場合は介護士として利用者を相手にする仕事でしたから、自分の至らないところを受け入れて、利用者に好感を持ってもらう努力をすることは必要不可欠です。
そのことを伝え、「これまでどのように対処してきたのか、私に教えてもらえますか?」と質問してみました。
すると、「相手のためになるだろうと思って、やってはみるのですが出来なくて結局迷惑をかけてしまったり…」と返ってきました。
彼女は『自分にできないこと』が分かっていなかったのです。
状況を整理して言うならば、『気持ちばかりが先行し、結果が伴わないから誰からも信用されなくなった』というところでしょうか。
なんだ、気づけるじゃん!!
ここまで辿り着いた私たちは、彼女と共に改めて現状を見つめ直すために
「できたこと」と「できなかったこと」を紙に書いてみることにしました。
結果は予想通り、「できなかったこと」の方が圧倒的に多い状況でしたが、そこで私は「では、なぜできなかったのかを考えてみましょう」とはあえて言わずに、「できなかったとき、同僚や上司、利用者からどんなことを言われたか覚えてますか?」と聞いてみました。
すると、
- 「どうしてお客様の言ってることが分からないんだとか、迷惑なのが分からないのかとか」
- 「痛いと言ってるのに、無理やり体を起こすんじゃないとか」
と返ってきました。
「無理やり体を起こしたのには、何か理由があった?」と聞くと、「早くトイレに行きたいって、急いで欲しいって言うから…」と。
つまり、
- 痛がっているのなら、そこでストップする
- 「どこが痛い?」といたわりの言葉をかける
- 他の介護スタッフにヘルプを求め、協力して利用者をトイレに連れて行く
などの対応が必要だったわけです。
彼女の言葉からも分かるように、一人で何でもやろうとしたり、相手の反応を聞き流してしまっていることが主な原因なのでしょう。
彼女はただ、「何とかしてあげたい」という気持ちが強すぎて周りが見えなくなっていただけなのかもしれません。
いつだって、好転するときは『自分を変えたときだけ』
だんだんと現状が見えはじめ、彼女にも様々な気づきがあったようで「何となく気づいてたんですけど、うまくいかないんです」とポツリ。
私は「気づいたのなら、もう大丈夫ですよ」と声をかけ、「じゃあ、問題です」と言って、介護クレームでありがちなシーンを伝え、「このときはどうする?」「じゃ、この場合は?」といくつか問題を投げかけ、継続して正常な答えが返ってくるまで繰り返しました。
それから数ヶ月後、再び彼女と会ったとき、「あれ?別人?」と思ったほど明るさを取り戻していることに気づきました。
怒られることも少なくなり、自分なりに起こしてきたクレームをノートに、「この場合は、こう」と書き溜めているとのこと。
(ひとりごと: でも、最初から「ノートになさい」と指導しても続かない。自主的でないと。不思議なものですね)
一日の終わりに必ずるようにしていたおかげで、その姿を良く思ってくれた先輩が相談に乗ってくれるようになったのだとか。
まだまだほんの一歩かもしれませんが、やっぱり、人は変われるんですね。
大事なのは、「相手を変えよう」なんて考えないこと。
いつだって、好転するときは『自分を変えたときだけ』なんだと思います。