大森篤志からの回答内容
経験上よくご理解されている事と思いますが、「Ｓさんのやりたい仕事」と「Ｓさんに向いている仕事（Ｓさんの才能が発揮できる仕事）」とが必ずしも一致するとは限らないのが仕事選びの難しいところでもあります。
「小さい頃は何が得意だったのか。何をして親や先生などに褒められたのか。皆が苦戦する中、自分だけが簡単に出来てしまったことは何か」など、好き嫌いというＳさんの主観をまじえずに振り返ってみて下さい。
「好きなこと、やりたいこと」という基準だけではなく、『得意なこと、結果が出たこと』を基準に考えてみることも、うまくいく仕事を見つける一つの方法ですよ。
人と関わらない仕事は…
それと、、、残念ながら、人と関わらないで済む仕事は存在しません。
一見すると「土や作物などの自然と向き合えばいい」ように思える農業であっても、取引先の人たちと関わることはもちろんのこと、新しい取引先を開拓するために何十、何百という数の人と会って積極的に関わっていかなければならないこともあります。
作家だって「書くだけ」で完結する仕事ではありません。何度も出版担当者や編集者などと打ち合わせを重ね、場合によっては書店などに出向いて自ら書籍をPRしなければならないこともあります。有名になれば、握手会をしたり、サイン会をしたり。メディアにもどんどん露出する機会が増えていきます。
職業によって程度の問題はありますが、『仕事をすれば必ず人と関わることになる』という現実を改めて受け入れて下さい。
本当の問題はどこにあるか
ご相談内容を見る限り、本当の問題は「仕事自体にある」のではなく『人間関係、すなわち人との関わり方やコミュニケーションにある』ように思えます。
「傷つきたくない、嫌われたくない」という気持ちが強く、職場では『自分を全く出せないでいる（感情を抑圧している）』のではないでしょうか。
無意識に防衛機制が働き、「傷つけられて嫌な思いをするくらいなら、最初から関わらない」と心のどこかで決めてしまっている可能性もあります。
「職場ではうまく話ができなく孤立してる気がします。」というのも、単に『Ｓさんご自身がつくり出している心の壁によるもの』かもしれません。
自分自身を振り返ってみる
「人と関わりたくないのは何故か、どうして人と関わらないことを求めるのか」これまでの自分の人生を振り返りながら考えてみて下さい。
きっとＳさんにしかわからない何かがあったのでしょう。その過去が今のＳさんに「人と関わらない」という選択をさせているのかもしれませんが、「過去は過去。今のＳさんには全く関係ない」と思いますよ。
「Ｓさんは変われる！」と信じています。だからこそ、最後にあえて厳しい言い方をさせて下さい。
これ以上、人と関わることから逃げないことが肝心です。（そもそも逃げ切れません）
悲劇のヒロインを演じていた自分に気づき、傷つくことに恐れおののくだけの自分を卒業しましょう。人は誰もが「誰かと関われば傷つくかもしれないリスクを背負いながら生きている」のですから。自分だけ傷つかないでいたいと願うのは、どだい無理な話なのです。
悩み苦しんでいるのは前に進んでいる証拠！
今はとてもお辛いと思いますが、ご相談内容を拝見すると、Ｓさんはちゃんと色々なことを考え、ダメな自分を嫌い、自分を分析し、自分は何に向いているのかとしっかり考えていますよね。
これは未来を見ている証拠、前に進んでいる証拠です。（このことだけでもまず自分を褒めてあげて下さい）
お仕事に関しては最初にお伝えした通り、「好きなこと、やりたいこと」という基準で探すのではなく、『今まで自分がやってみた事で得意だなと思ったこと、他の人よりほんの少しでも上手く出来た事・結果が出て嬉しかったこと』を基準に、焦らずにじっくりと腰を据えて考えてみて下さい。
