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大森篤志からの回答内容
世の中の皆が「自分の好きなことだけ」を仕事にしていたら、現実の社会はうまく回りません。例えばテニスの大好きな人が全員もれなくプロのテニス選手になったとしたら、本の大好きな人が全員もれなく本屋で働くことになったとしたら、それは社会全体に偏りが出てしまうからです。
脚光を浴びて華々しく表舞台で活躍する人もいれば、裏方に徹しながら人の見えないところで活躍している人もいます。人の嫌がる仕事をしてくれている人もいます。全て世の中に必要な仕事です。
世のため人のために必要なことであれば、個人の「好き」という感情とは関係なく行うのも仕事なのではないでしょうか。
もちろん、好きなことを仕事にした人は幸せ者だと思います。自分の好きなことですから、時間を忘れて取り組むことが出来ますし、どれだけ仕事をしてもそこまで苦になりません。そして何よりも『結果が出やすい』のですから、成功者たちが「好きを仕事に」と口をそろえて言うのも無理はありませんよね。
しかし、好きなことを仕事にしているから「ずっと楽しいか?」というと、それはちょっと違います。
どんなに好きなことでも、「人・モノ・お金」など他の要因が加われば大きなストレスになることがあるからです。気分が乗らなくて溜め息ばかりついている時も、会社に行きたくない日も、上手くいかない日が3年も続けば「もう諦めよう」と思うこともあるのです。
自分が楽しいだけなら、それは人からお金をもらってする仕事ではないのかもしれません。どんなに大変でも、どんなに苦しくても、人に喜んでもらえる仕事をするから価値があるのではないでしょうか。
どんな仕事であっても、自分の納得する形があれば幸せである。
「好きでもない仕事に就いている人は不幸か?幸せになれないか?」と聞かれれば、それはNOです。
好きという気持ちがなくても、仕事は生活のためと割り切って、休日に大切な家族と有意義な時間を過ごすために働いている人もいます。
週末に家族とディズニーランドで過ごすのが幸せだと思えるのなら、働いて稼いだお金の果たす役割は大きいもの。どこかに自分の納得するところがあれば、たとえ仕事自体に熱い志を持てなくても、それはそれで幸せな形だと思います。
【選択】『好きなことを仕事にするか、今の仕事を好きになるか』
もしSさんが「今の仕事のせいで不幸になるのは御免だ!」と思っているなら、『転職して好きなことを仕事にするか、今の仕事を好きになるか』のどちらかを選択する必要があります。
転職する気がない場合は、今の仕事における「大変さや苦しみの中に『楽しさ』を見出すこと」が重要になります。
例えば、庭の草むしりをするにしても、嫌々やっていたら苦痛以外の何ものでもありません。でも、「素敵な花壇をつくろう」「ガーデンテーブルを設置して大好きな人とハーブティーを飲もう」などと考えて積極的に取り組むことが出来れば俄然やる気になるものです。
本来どんな仕事でも必ず楽しむことが出来るもの。Sさんが自分の仕事に不満ばかり感じているとしたら、それは物事のネガティブな面だけを見ているからです。別の誰かがSさんの仕事を体験したら、「なんて楽しい仕事なんだ!」と思うかもしれません。
仕事自体には、良いも悪いもありません。Sさんが今の仕事に「どんな思いを持つか」。その思いが現実に投影されるだけのことなのです。