大森篤志からの回答内容
35歳で4社目。コロンさんにとって「この経験をどう捉えて今に生かすか」が重要になってきそうですね。
人には良くも悪くも「慣れる」という対応力が備わっています。そのため、退職や転職は何度か繰り返すと癖になってしまうことがあるのです。
初めての退職ともなれば、いざ話を切り出す時に「上司になんて言えばいいんだろう」と悩んだり、辞めると決めても「いやいや、今はタイミングじゃない」とふらふら引き返してみたり、一度も会社を辞めた経験がないがゆえの抑制機能が働きます。
また、一度や二度なら、転職にも緊張感があり真剣に取り組むことが出来ます。
しかし、コロンさんのように退職も転職も3回を過ぎたあたりから、悪い意味の対応力である「慣れ」が生まれ始めて、それまでとは違って簡単に退職・転職してしまうことが少なくありません。「転職の虫がうずく」とでも言いましょうか。
そんな軽いノリで退職や転職が出来てしまうのです。なぜなら、「慣れ」が退職・転職へのハードルを下げているからです。
その転職が明らかにキャリアアップであるのなら問題ありません。しかし、転職して1年も経たないうちに「思っていた仕事と違ったから」とか、「前の仕事のほうが良かったから」とか、「面白くないから」という理由で転職するのは賢明ではありません。そういう後ろ向きな転職ほど引きずるからです。
引きずらず、少しだけ踏ん張ってみる。
例えば、上司と馬が合わない、同僚との人間関係がうまくいかない、希望の仕事をさせてもらえない等の理由で辞めてしまうと、新しい職場で似たような状況になった時に、またすぐに「辞めたい」と思ってしまうもの。しかも、そういうことは意外にも『どんな職場でも起こり得ること』だったりします。これが“引きずる”ということです。
うまくいかない時こそ少し踏ん張って、たった一つでもいいから問題を解決していく。馬の合わない上司には、あえて積極的に仕事の相談をしてみたり、希望の仕事が出来なくても、スキルの幅を広げるためと思って最善を尽くしてみたり。そのうちに上司から可愛がられ、やりたくないと思っていた仕事にも魅力を感じるようになったとしたら、その力はコロンさんにとって一生の財産になるものですよ。
何か一つでも問題を解決してから転職すれば、身に付けたコロンさんの力は次の職場でも必ず生かせるはず。大事なのは、今の職場で何かを学び、力に変えてから動くことです。今の仕事や職場に在籍していることにちゃんと意味を持たせることなのです。
そしてもう一つ大事なこと。
転職する時は、『明確な目的を持ってから』にすることです。ゆくゆく起業したいのであれば、その目的につながる転職をしましょう。早く結婚したいなら、腰掛けで男性ばかりの職場を選ぶというのも、それはそれでアリではないでしょうか。いずれにしても、ハッキリとした目的がないうちは転職しても苦しいだけだと思います。
何かツライことが起きた時に、すぐ辞めたくなってしまう。これは人間の防衛本能の働きによるもので、誰もが少なからず持っている反応特性と言えるでしょう。ですから、仕事を辞めたくなるのはコロンさんがおかしいからでは決してありません。悲観的にならずに「この気持ちは自然な反応なんだ」と考えるようにしましょう。そのうえで今の仕事から何かを学び、力をつけるまで期限付きでもいいから出来ることをやってみるのです。
どうしても会社を辞めたい時は、いつでも辞めることが出来る社会です。だからこそ、辞めるとしても「そこにどういう意味をもたせるか?」が重要なのではないでしょうか。