大森篤志からの回答内容
恒常的にキャリアカウンセリングを行っているプロとしての立場からお答え致しますと、はるかさんの場合は、「好き」という主観だけではなく、『自分の能力を発揮できるか』という基準も加えて仕事を選ぶことをお薦め致します。
「好きな仕事で能力を発揮できる」ことに越したことはありませんが、現実はそうすんなりとはいかないもの。中には『好きだからこそ仕事にならない』という場合もあるでしょう。
たしかに、好きな仕事をすると楽しくて長続きするイメージはありますが、はるかさんのように「好きな仕事で能力が発揮できない」となると、むしろそのギャップに苦しむことになるものです。
「好きな仕事」と「能力を発揮できる仕事」は、必ずしもイコールではありません。
どちらかと言えば、「好きな仕事」と「趣味」のほうが共通する部分が多く、好きな仕事をしていると『趣味の延長線上という感覚を持つ人も多い』ようです。そのため、マイペースになりやすく、組織に必要な協調性を欠くことにもつながりかねません。
また、その仕事をしているだけで満足感を得られてしまうため、人によっては『成果を出すことにあまり執着しない』ということもあるでしょう。
一人で仕事をするというのなら、マイペースでも誰に迷惑をかけるわけでもありません。それほど多くの収入を得られなくても、自分の心が満たされているから幸せと納得していれば、それで一向に構わないと思います。
しかし、会社に勤めている以上、一緒に働く仲間と足並みを揃えないことや、成果を追求しないことは出来ません。会社の中では、好きなことがもたらす自由が足かせになる場合もあるのです。
一方、能力を発揮できる仕事では、自然と『成果が出てしまう』わけで、成果が出れば多少の苦しみなど忘れさせてくれます。それどころか「楽しい、嬉しい」という感情まで引き出してくれます。
成果を出せば、評価もされます。評価をされれば、もっと頑張ろうと思うのが働く人間の心理でしょう。成果は、働く人間を前へ前へと推し進める原動力にもなるんですよ。
最初はあまり好きになれなかった仕事でも、成果を出して周りから評価されるようになると、その仕事を好きになっていくものです。
まず、自分の性格を正しく理解することから
長く続けられる仕事を見つけるには、自分の性格を正しく理解しておかなければなりません。
とはいえ、自分の性格を理解しようとすると『どうしても主観に偏ってしまう』もの。自分が思っている性格とは全く違った印象を周りが持っていることも少なくありません。
試しに、次の5つの質問に答えてみて下さい
- 自分の目がキラキラ輝き出すのは、どのような状況や環境に置かれた時ですか?
- 物事の「木」を見るほうですか?「森」を見るほうですか?
- 決断を下す時は、客観的なデータを集めて吟味するほうですか?主観で決めてしまうほうですか?
- 計画通りに進めるのが得意ですか?苦手ですか?
- 目標がないと動けませんか?とりあえずでも動けますか?
さて、素早くパッと答えを出せましたか?
おそらく、ほとんどの人は「これまでの自分の行動を振り返り、よく考えなければ答えが出せなかった」のではないでしょうか。
それこそ「普段から主観に偏って自分を見ている」何よりの証拠。自分の性格を正しく理解するには『客観的な視点』が大事です。
一度たっぷり時間を取って、「自分の才能(得意なこと 等)は何か」「自分が力を発揮できる仕事分野は何か、どんな職場環境なのか」など、自分を生かせる仕事についても考えてみて下さい。紙に書き出してみると、頭で考えるよりも自分自身を客観的に見ることが出来ますよ。